
国境を越えた分析枠組みで、東アジアの商人の思想や組織活動の特徴を解明する。
研究概要
近代東アジアの実業家や商人グループ、ならびに商人組織に関する内外の研究は、経営史、外交史、社会史、教育史などの分野で著しく進展しましたが、いまだに近代東アジア全体の視座の中で、それらの果たした役割に対する評価は定まっていません。私の研究では、従来の一国モデルや国家間関係を中心とする国際関係モデルを重視しながらも、人々の活動がグローバル化したことを踏まえ、国境を越えた分析枠組みで、東アジアの商人の思想や組織活動の特徴を解明します。また歴史的視座から、グローバリゼーションが進む中での経済人と社会、政府と民間、経済発展とイデオロギーの関係についても検討しています。
アドバンテージ
中国語、日本語、英語の文献やウェブサイトを調べることでトランスナショナルなアプローチで研究を進めることができます。
事例紹介
ア)新しい史料の発掘と分析を通して、日中韓における「実業」概念の生成、発展と変容の過程を明らかにします。
イ)思想史の角度から現代中国社会の特質を解明します。
主な所属学会
東アジア文化交渉学会 / 日中社会学会 / 渋沢研究会
主な論文
『近代日中実業界からみる民間外交の一側面 - 南洋勧業会と近藤渡清実業団を中心に』 「北東アジア研究」 23号 2012.3
『梁啓超の国家論に関する一考察-国権,国民論を中心に』 「横浜国立大学教育人間科学部紀要Ⅱ(人文科学)」 12巻 2010.12
『近代日中両国の商業教育の特徴に関する一考察-福沢諭吉の教育構想における「公・私」観を中心に』「東アジア文化交渉研究」2号 2009.3
『「経世済民」からみる儒学と「啓蒙」との関係-西周と張張謇の例を通じて』 「北東アジア研究」 17号 2009.3
主な著書
「国際交流に託した渋沢栄一の望み: 『民』による平和と共存の模索」(共著)ミネルヴァ書房, 2019.10
「渋沢栄一は漢学とどう関わったのか ―『論語と算盤』が出会う東アジアの近代」(共著)ミネルヴァ書房, 2017.2
「渋沢栄一と中国-一九一四年の中国訪問」(訳書)不二出版, 2016.7
「渋沢栄一と〈義利〉 思想-近代東アジアの実業と教育」(単著)ぺりかん社, 2008.3