大学院国際社会科学研究院 国際社会科学部門
教授 山崎 圭一ヤマザキ ケイイチ
経済社会の変動についての現実的な評価指標に関する研究を行っている。
ビジネスに重要な実事業展開、環境保全と開発との関係、
アジアやアフリカなどの地域比較、政治経済学的なアプローチなどを取り入れている。
ラテン・アメリカのブラジルを中心に、2019年からはニカラグア、ベネズエラ、キューバなども対象に入れた実証研究を行っている。経済開発を中心として、地域開発が専門、とくに、都市の住宅市場と公共的住宅(社会住宅)の供給システムの国際比較に焦点を当てている。
研究分野 - 分野
社会科学
研究分野 - 分科
経済学
研究分野 - 細目名
経済政策

キーワード
ラテンアメリカ / ブラジル / 途上国住宅政策 / 途上国のメガ・シティ / サスティナブルな開発

相談に応じられるテーマ
ブラジル経済の現況とマクロ経済政策および財政政策の動向 / ブラジルの地方市場の動態と展望とくに市郡(ムニシピオ)経済の動向 / ラテンアメリカの環境・福祉ニーズの把握 / ラテンアメリカの貧困層の社会的統合の進展度合い / ニカラグア、ベネズエラ、キューバの動向

所属
大学院国際社会科学研究院 国際社会科学部門

E-mail
yamazaki-keiichi-zg@ynu.ac.jp

研究概要

ラテンアメリカのブラジルを中心に、2019年からはニカラグア、ベネズエラ、キューバなども対象にいれて、実証研究をしています。経済開発を中心に調べていますが、とくに地域開発が専門で、更に絞った範囲でいえば、都市の住宅市場と公共的住宅(社会住宅)の供給システムの国際比較研究をしています。公共住宅の提供には財政政策と金融政策を活用しますが、後者については強制貯蓄を原資とする公的開発金融のメカニズムが利用される場合があります。中国の住宅公積金制度、日本の財政投融資制度などがありますが、ブラジルではFGTS(就業年限保証基金)という強制貯蓄の資源が動員されています。財政、金融ともに弱い途上国では、公的住宅供給の実績が限定されており、UNHABITATによれば世界の不良住宅数(いわゆるスラム街)は近年増えています(一部は紛争難民の増加が要因)。この問題の緩和にむけての公共政策をめぐる諸問題を研究中です。なお最近は日本の地方自治体の市民協働事業(co-production)を海外に紹介する論文も、書いています。

アドバンテージ

私の研究は、現地密着型で、とくに地方市場に力点をおいている点に優位性があるだろうと、考えています。第1に実際の事業の展開は、特定の都市や農村といった空間で展開されるわけで、その投資空間の特質(資源賦存、地方税制、腐敗状況、環境規制、消費者市場など)を理解しておくことは、ビジネスにとって重要です。第2に環境保全と人間開発の視点から分析しているので、環境や福祉の未来型マーケットの調査に向いています。第3に、途上国一般ではなく、人口の多い、マーケットとしての有望性の高いブラジルを専門としていることです。ただし、アジアやアフリカとの比較の視点も追究していますので、ブラジルだけを研究している専門家とは異なり、広い視野から分析ができます。第4に、市場と公的部門の双方を総合して分析している点に特徴があり(政治経済学的アプローチ)、経済社会の変動についてより現実的な評価ができると考えています。

事例紹介

製品開発に参加した経験はありませんが、学術雑誌以外への執筆例としては、国際貿易投資研究所の報告書、『貿易と関税』『エコノミスト』『世界』『ラテンアメリカ時報』『ブラジル特報』『生活と環境』などの雑誌です。企業の経営者、外務省(日本国)幹部の勉強会などで講演した経験や、ブラジルの首都ブラジリアの都市政策公社の職員研修に招待され、ポルトガル語で講演をした経験や、ブラジルに関する民放バラエティ番組の内容チェック支援の経験や、地方公共団体による途上国支援(自治体ODA)について、とくにブラジルへの都市廃棄物の処理支援に関する助言を行った経験などがあります。す。

主な所属学会

ラテン・アメリカ政経学会 / 日本ラテンアメリカ学会 / 日本地方自治学会(2020年~2022年まで事務局長、2023年以降国際交流委員長) / 日本財政学会 など

主な論文

- “Local Factors Sustaining Co-production: Two Case Studies from the city of Yokohama, Japan”, Journal of Urban Affairs DOI: 10.1080/07352166.2022.2095916, Co-authors: Brian Dollery and Yukio Kinoshita (published online in September 2022)
- 「ブラジルの2016年政変と政治の新しい動き」『エコノミア』第72巻第1号(2021年11月)
- Creating Institutional Advantage: Local Government Co-production with Community Groups in Asia Pacific Journal of Public Administration, Vol. 42, No. 3,DOI: 10.1080/23276665.2020.1776624, Co-authors: Yukio Kinoshita and Brian Dollery (published online in June 2020)
- "Humanitarian co-production in local government: the case of natural disaster volunteering in Japan" in Local Government Studies, DOI: 10.1080/03003930.2019.1702531, Co-authors: Brian Dollery and Yukio Kinoshita (published online in December 2019)

主な著書

“(Chapter 6) Brazilian Workers in Japan and Public Policies for Promoting Their Social Integration with a Focus on Basic Education for Children” in N. Hamaguchi and D.Ramos (eds.) Brazil-Japan Cooperation: From Complementarity to Shared Value, Springer, Published in 2022. Co-author: Mauricio Bugarin, Open Access:https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-19-4029-3
「(第7章)唯物史観による最初のブラジル経済史:カイオ・プラド・ジュニオール」小池洋一・子安昭子・田村梨花編著『ブラジルの社会思想:人間性と共生の知を求めて』現代企画室、2022年
「45 カルドーゾ、ルーラ、ボルソナーロ―3人の大統領の三者三様の特徴」伊藤秋仁・岸和田仁編著『ブラジルの歴史を知るための50章』明石書店、2022年
「(第5章)ベネズエラの民主化を阻む国際的同調圧力」(住田育法・牛島万共編著『混迷するベネズエラ : 21世紀ラテンアメリカの政治・社会状況』明石書店所収)、2021年
「(第6章)ラテンアメリカ経済社会の変化―ブラジルの住宅政策に焦点を当てて」(後藤政子・山崎圭一共編著『ラテンアメリカはどこへ行く』ミネルヴァ書房所収)、2017年
『進化する政治経済学』レイライン、2013(単著)

主な研究機器・設備

デスクトップパソコン1式

主な地域活動(国内、特に神奈川県内)

横浜市鶴見区にて、ブラジル人など外国つながりの小学生への学習支援活動である「つるみーにょ」(NPO法人ABC Japanの活動の1つ、地元小学校にて実施)に参加。