都市科学部 環境リスク共生学科 大学院環境情報学府 環境生命学専攻
教授 和仁 良二ワニ リョウジ
“アンモナイト”と呼ばれる化石を対象に、
現生・化石生物の両面から生態研究を行っている。
フィリピンの海に生息するオウムガイの殻を用いて、現地での生態調査や各種の野外実験、地球化学的分析などを行っている。
研究分野 - 分野
数物系科学
研究分野 - 分科
地球惑星科学
研究分野 - 細目名
層位・古生物学

キーワード
アンモナイト類 / オウムガイ類 / 古生態 / 進化 / 絶滅

相談に応じられるテーマ
アンモナイト類の古生態 / オウムガイ類の古生態 / 頭足類の進化・絶滅

所属
大学院環境情報研究院 自然環境と情報部門
都市科学部 環境リスク共生学科
大学院環境情報学府 環境生命学専攻

E-mail
wani@ynu.ac.jp

研究概要

現在の地球には数百万種ともいわれる多様な生物が生息しています。このように多様な生物は、どのようにして地球上に誕生し、どのように進化してきたのでしょうか。私は、過去の地球環境変動がその時生息していた生物にどのような影響を及ぼしてきたのか、ということを明らかにするため、過去の生物の直接的な証拠である化石の研究を進めています。研究の材料としておもに用いているのは、“アンモナイト”(図a)と呼ばれる化石です。対数らせんに巻いた殻を持ち、今から約6500万年前に絶滅してしまった軟体動物の頭足類に分類される生物で、現在のイカやタコの仲間です。

アドバンテージ

アンモナイトとほとんど同じ殻構造を持ち現在生きている頭足類の仲間として、“オウムガイ”(図b)という生物がいます。アンモナイトの古生態を理解する際に、頻繁にオウムガイの生態と比較されます。しかし、水深100~500mほどの深い海に生息するオウムガイの生態にはまだ多くの謎が残っています。アンモナイトの古生態を詳細に理解するためにも、現在生きているオウムガイの生態をさらに詳しく調べる必要があります。
私はおもにフィリピンの海に生息するオウムガイの殻を用いて、現地での生態調査や各種の野外実験、地球化学的分析などを行っています。このような現生・化石生物の両面から研究を行っている研究者はあまり多くありません。

事例紹介

現生オウムガイ類を用いた野外調査・室内実験にもとづいて、従来の研究では詳細に明らかにされていなかったアンモナイト類がどのようにして化石になったのか?生物が化石として保存されるまでの歴史を、化石記録から読み取ることを可能にしました。これらの手法によって復元されたアンモナイト類の古生態は、今まで理解できなかったことも明らかにしつつあります。

主な所属学会

日本古生物学会 / 日本地質学会

主な論文

Stepwise growth changes in early post-embryonic stages among Cretaceous tetragonitid ammonoids. Paläontologische Zeitschrift, 2023, https://doi.org/10.1007/s12542-023-00650-0.
Conservative ontogenetic trajectories of septal spacing during the post-embryonic stage in Cretaceous ammonoids of the subfamily Desmoceratinae. Lethaia, 2022, vol. 55, p. 1–12. doi: 10.18261/let.55.2.2.
Ontogenetic trajectories of septal spacing and conch shape in the Late Cretaceous gaudryceratid ammonoids: implications for their post-embryonic palaeoecology. Palaeontology, 2022, vol. 65, e12587.

主な著書

Ammonoid taphonomy. In Ammonoid Paleobiology: From macroevolution to paleogeography, C. Klug, D. Korn, K. De Baets, I. Kruta, and R.H. Mapes (eds.), 2015, Springer, Dordrecht, p. 555–597.