教育学研究科 教育実践専攻
教育学研究科 高度教職実践専攻
研究概要
骨格筋は、身体の4割を占める器官であり、可塑性に長けているだけではなく、近年では生理活性物質を分泌することまで分かってきました。特に運動の健康効果について、血中の生理活性物質の変化の大きさに着目しています。加えて、運動で生じるバイオマーカーの変動も研究対象とすることで、バイオマーカーと言われる物質の生体への影響の可能性を検討しています。そのため血中以外にも尿や唾液も検体対象としています。ヒトを対象とした研究では、運動を実施し、生理活性物質およびバイオマーカーの変化を検討する研究を遂行しています。それ以外にも筋痛や筋損傷に関する研究も遂行してきました。これらの変化は、サプリメントによる抑制効果を検討することにもつながっています。また詳細な生命現象を解明するために、骨格筋に着目した実験動物や培養細胞を対象として、分子生物学的な手法を用いたメカニズム検討まで行うことができます。
アドバンテージ
ヒトを対象とした研究では、運動強度を厳密に既定し、生理応答を検討することができます。運動強度の決定には、血中乳酸や呼気ガスの変化ポイントを見極めて、決定することができます。また筋痛・筋損傷が生じる運動様式や強度をサプリメントと織り交ぜて検討することができます。
実験動物を対象とした研究では、複数の運動モデルや、手術による骨格筋肥大、複数の萎縮モデルを用いた骨格筋を中心とした生体応答を検討することができます。また培養細胞を対象とした研究では、株化している細胞のみならず、生体(実験動物)から摘出した骨格筋細胞を用いた研究を遂行することができます。これらを対象とする研究の解析は、タンパクや遺伝子発現量を、目的に応じて検討することができます。
事例紹介
事前の漸増負荷試験によって呼気ガスより運動強度を設定した状況でのバイオーマーカーの変化を検討した。また動物実験でも、同様に運動強度に応じた生体応答を検討することができる。このような条件設定が厳密に行えるため、運動の効果を様々な要素(道具や食品)と組み合わせて検討することができる。 骨格筋の初代培養細胞は、筋の未分化細胞を回収し、増殖させて使用する。その際に筋芽細胞自身の増殖能や、筋芽細胞から筋管への分化能を検討することができる。この増殖や分化の過程で、任意の物質や栄養素の添加で、骨格筋細胞で生じる変化を検討することができる。特に骨格筋の初代培養細胞は、通常使用される株化の培養細胞と比較して、分化した筋管は自発収縮をしている点(株化の筋管は自発的な収縮は見られない)で、生体により近い細胞での応答が検討できる。
主な所属学会
日本体力医学会 / 日本運動生理学会 / 日本ウォーキング学会
主な論文
『Gene expression level of renalase in the skeletal muscles is increased with high-intensity exercise training in mice on a high-fat diet』「Physiology International」2021年
『Plasma free metanephrine and normethanephrine levels correlated to plasma catecholamine after acute running in amateur runner』「Journal of exercise science and fitness」2021年
『LDH isoenzyme 5 is an index of early onset muscle soreness (EOMS) during prolonged running』「The Journal of sports medicine and physical fitness」2020年
主な研究機器・設備
体組成計、呼気ガス分析器、人工気候室