材料に関する基礎的な研究から実際的な応用研究、
さらには市場で生じる製品の不具合問題の解決を行っている。
研究概要
金属、無機、高分子等の材料では、熱力学相とその微細構造で特徴付けられる「状態」が物性の発現を支配します。そのため、目的とする材料物性を得るためには「状態の制御」が重要となります。このことを踏まえ、
1)材料における新しい状態を探索すること
2)状態変化機構の解析を介して状態の制御因子を明らかにすること
3)材料の状態を解析することにより物性の発現/抑制因子を解明すること
等を目的とした研究を行っています。
アドバンテージ
民間の分析会社に24年間勤めていました。そこでは様々な分析装置を用い、材料に関する基礎的な研究から実際的な応用研究、さらには市場で生じる製品の不具合問題の解決まで行って来ました。
これまでの業務・研究は「基礎学問を実際の問題に落とし込むこと」を念頭に行ってきたものであり、また実際問題から見出された学問的視点を新たなテーマとして組み上げたものです。
そのため、企業での研究・開発や生産工程、さらには市場品質などの様々な問題に対して、基礎学問の視点から解決に貢献できるものと考えています。
事例紹介
新規炭素系料ではcarbon nanotubeが有名ですが、carbon nanowall(CNW)も注目されている材料の一つです。CNWは湾曲した2次元グラファイトシートによって特徴づけられています。またグラファイトシートは非常に小さなグラファイト領域によって分断されています(右図)。そのため、グラファイト領域間に触媒用の貴金属を担持させること、あるいはグラファイト領域の大きさをコントロールすることにより、電子や熱の伝導性が変化します。このことは、CNWの電池電極ヘの応用展開を拡げるためには非常に重要な知見となりました。このように材料において物性を支配する因子を提供するためには、材料の微細構造を解析することは非常に重要です。また、物性の支配因子は材料劣化を調査する場合にも需要な解析ポイントになります。
主な所属学会
日本物理学会 / 日本金属学会
主な論文
1. 『Nano-graphite domains in carbon nanowalls』 J. Appl. Phys., 101,094306-1-4(2007)
2. 『Phase transition with non-deterministic nature in the Ni3Al0.45V0.50 alloy』 Europhysics Letters, 82, 4007-p1-p5(2008)
3. 『Evolution of the Domain Topology in a Ferroelectric』 Phys. Rev.Lett., 110, 167601-1-5 (2013)
4. 『Solvent-mediated phase transformation of C60 crystals with well-defined hexagonal shape』 Chem. Phys.
Lett., 730, 105-111 (2019)
5. 『Temperature dependence of the Raman spectra of multilayer graphene nanoribbons fabricated by unzipping
method』Diamond & Related Materials, 109, 108047 (2020)
主な特許
・ WO2016/098210, WO2016/098209 「電気デバイス用負極活物質,およびこれを用いた電気デバイス」
主な著書
・「電子顕微鏡Q&A ~先端材料解析のための手引き~」アグネ承風社,1996
・「ミクロの世界・物質編 ~目で観る物性論~」学際企画,1998
主な地域活動(国内、特に神奈川県内)
・日本学術振興会「量子ビーム融合化利用研究」に関する先導的研究開発委員会委員
・かながわ産学公連携推進協議会(CUP-K)委員
・早稲田大学「環境整合材料基盤技術共同研究拠点」実行委員