様々な物性を測定するとともに、特異的な物性発現を期待した研究を行っている。
大学院理工学府 数物・電子情報系理工学専攻 物理工学教育分野
理工学部 数物・電子情報系学科 物理工学教育プログラム
研究概要
特徴的な構造を有する物質系について注目した研究を行っています。化学輸送法や、フラックス法により育成した単結晶やスパッタリング、ゾルゲル法、スピンコート法等により作製した薄膜など測定対象物を自ら作成し、その光学的、電気的、磁気的物性を測定するとともに、光照射下での電気的、磁気的物性変化に注目し、特異的な物性発現を期待した研究を行っています。
アドバンテージ
化学輸送法を利用した二酸化チタン単結晶を自作できるので、適宜不純物などをドープした望みの組成をもつ単結晶を得ることができる場合があります。特に、anatase型TiO2TiO2は市販されていない貴重な単結晶ですが、いくつかの元素をドープできることが判っています。ナノ秒パルスレーザーをはじめ、各種の光源からの光照射時の電気的、光学的応答を観測することができます。また、円筒形Zrターゲットを有した特殊なスパッタリング装置を開発し、ダメージの少ない触媒製膜に関する技術開発を行っています。
事例紹介
〇無機酸化物単結晶の作成と電子物性
光触媒半導体として注目されているanatase型TiO2TiO2系に注目し、単結晶育成から欠陥制御、光励起状態からの緩和過程、超高圧下での光学物性測定など多方面から幅広い研究を行っています。近年、Alをドープした単結晶が紫外光照射により低温での永続的キャリアトラップを生じることを見出しました。近年は、anatase型TiO2中の窒素の電子状態に着目し、室温でのキャリアトラップに注目した研究を実施しています。
〇ダメージの少ない触媒製膜の研究
円筒形Zrターゲットを有した特殊なスパッタリング装置を開発し、ダメージの少ないスパッタリング技術の開発を行っています。これを用いて、ジルコニウム酸窒化物系の酸素還元触媒の製膜を行う技術を研究しています。最近では、炭素微粒子への直接成膜に取り組んでいます。
主な所属学会
日本物理学会 / 日本高圧力学会 / 応用物理学会 / 日本セラミックス協会 / 日本真空学会
主な論文
Kazuchika Ozawa, Yusuke Tanabe, Tetsuya Kodaira, Takao Sekiya, “Behavior of UV-generated carriers and local structure around doped aluminum in anatase titanium dioxide”, J. Phys. Chem. Solids, 124 (2018) 137-143. (doi:10.1016/j.jpcs.2018.09.004)
Hiroshi Iwata, Hiroki Ishii, Daiki Kato, Shohei Kawashima, Kakeru Kodama, Masashi Furusawa, Masatoshi Tanaka, and Takao Sekiya, “Deposition of ZrON thin films by reactive magnetron sputtering using a hollow cylindrical target ”, J. Vac. Sci. Tech. A36, (2018) 061509-1-7. (doi:10.1116/1.5042439)
H Funabiki, K Ozawa and T Sekiya, “Electronic state of nitrogen in doped titanium dioxide”, Journal of Physics: Conference Series 1220 (2019) 012014. (doi:10.1088/1742-6596/1220/1/012014)
主な著書
"Defects in Anatase Titanium, Dioxide",appeared in "Nano- and Micromaterials",Advances in Materials Research, vol. 9, (Springer-Verlag Berlin Heidelberg New York, 2008) 121-141.(共著)
主な研究機器・設備
ラマン分光装置、ナノ秒時間分解分光装置、スパッタリング製膜装置