
新規材料の研究を行っている。特に紙や糸との複合材料では、
扱いやすくかつユニークな電気的特性の出現が確認されている。
大学院理工学府 数物・電子情報系理工学専攻
理工学部 数物・電子情報系学科
研究概要
本研究室では、一風変わった手法・アイディアから次世代デバイスの開発を目指します。2本柱で研究を進めており、一つは「自然・生物に学んだ新しい情報処理デバイスの創生」、もう一つは「身近な材料とカーボンナノチューブ(CNT)との複合材料開発とその応用」をテーマにしています。普段まったく気にしてはいませんが自然界では誰の手も借りずそれぞれのモノが自力で構造を形成したり、いろいろなものが集まることでお 互いに相互作用をし、並列情報処理のようなことをしている場合があります。このようなことから「情報処理システムの創生」も自然界から学ぶことができれば、非常に斬新で画期的なものができると考え研究を進めています。また、日本伝統のものづくり技術と最新ナノ工学材料のCNTを組み合わせた複合材料(CNT複合紙/複合糸)の創生と応用という斬新な内容の研究を進めています。
アドバンテージ
例えば本研究室で開発したCNT複合紙は「日本伝統の和紙作り(紙抄き)手法」にCNTを組み込むものであり、すでに英語論文として公表しています。さまざまな機能を持つCNTを「紙」という扱いやすい形にすることで応用展開が容易となりました。現在「紙でありながら〇〇ができる」をキーワードにセキュリティ分野から通信・情報処理・発電分野まで幅広く研究を進めています。また、新しい情報処理システムの構築も目指しており、そのヒントとして自然界での物理現象に着目しています。ある自然現象については工学的に見ると非常に高度な並列処理システムであると考えられ、これを電子デバイス化することで既存の情報処理システムが苦手とするような処理を高速に行うことができると考えられています。さらにはエラーに強いものもあります。現在、そのような自然模倣情報処理システムについても研究を進めています。
事例紹介
これまでに
・粘菌に学ぶ情報処理回路 ・蟻の行列に学ぶ回路 ・シャボン膜に学ぶ回路 ・軍隊ガニに学ぶ回路等の他に、
・雑音を味方につける情報処理回路 ・ニューラルネットワーク回路等についても研究を進めている。

これまでに
・紙/糸トランジスタ ・色素増感太陽電池紙 ・熱電発電紙/糸 ・認証応用(紙)
・紙アクチュエータ ・電磁波シールド紙 等についても研究を進めている。

主な所属学会
応用物理学会 / 電子情報通信学会 / 米国電気電子学会(IEEE)
主な論文
・"Noise-Harnessing Single-Electron Circuit with Symmetrical, Simple Pair Circuit Structure and Application to Full Adder Circuit," Japanese Journal of Applied Physics, vol. 60, 085001 (8 pages) (2021).
・"Development of Paper Actuator Based on Carbon-Nanotube-Composite Paper,"
Molecules, vol. 26, 1463 (12 pages) (2021).
・""Paper dye-sensitized solar cell" based on carbon-nanotube-composite papers," Energies, vol. 13, 57(13 pages) (2020).
主な特許
特許第5993158号「カーボンナノチューブ含体を用いた認証システムおよび認証方法」
特許第5908291号「カーボンナノチューブ含体」
特許第5646879号「カーボンナノチューブを含む物品」
主な研究機器・設備
半導体パラメータアナライザ
超音波ホモジナイザー
計算用サーバー