理工学部 化学・生命系学科 化学応用教育プログラム
教授 岡崎 慎司オカザキ シンジ
光ファイバ技術を応用し、一本のケーブルに沿ったライン計測が低コストで実現できる可能性を見出すことで、化学物質の高次元計測技術を目指している。
多様化するニーズに応えるため、工業物理化学、なかでも電気化学と無機材料工学をベースとした化学センサの研究開発に取り組んでいる。具体例としては、常温動作可能な水素感応デバイスの研究開発と水素漏洩検知用分布型センサシステムへの応用に注力している。
研究分野 - 分野
工学
研究分野 - 分科
材料工学
研究分野 - 細目名
構造・機能材料

キーワード
センサ工学 / 応用電気化学 / 光ファイバ化学センサ / 腐食防食工学

相談に応じられるテーマ
センサ開発(主にガスセンサなどの化学センサ) / 腐食防食(原因調査・材料評価・防食技術開発など) / 電気化学プロセス( 電解・メッキ・エッチングなど) の開発・改善

所属
大学院工学研究院 機能の創生部門 固体の機能
大学院理工学府 化学・生命系理工学専攻 化学応用・バイオユニット
理工学部 化学・生命系学科 化学応用教育プログラム

E-mail
okazaki-shinji-yp@ynu.ac.jp

研究概要

化学センサは、各種産業分野におけるプロセス監視や機器制御に用いられる重要なデバイスで、現代社会を支える重要な要素技術の一つになっています。さらに近年では、医療・福祉、環境・安全等の幅広い分野でもその適用が進んでいます。このような多様化するニーズに応えるため、工業物理化学、なかでも電気化学と無機材料工学をベースとした化学センサの研究開発に取り組んでいます。具体例としては、常温動作可能な水素感応デバイスの研究開発と水素漏洩検知用分布型センサシステムへの応用に注力しています。水素は次世代エネルギーシステムにおけるエネルギーキャリアとして注目されています。この水素を安全に扱うため、Pt/WO3薄膜の水素に対するガスクロミズム現象を利用したエバネッセント波吸収型光ファイバ水素センサや水素の触媒燃焼熱を光ファイバグレーティングで捉える多点型水素センサを開発しました。これらのセンサは、分布型水素漏洩検知デバイスとして空間的に広い範囲に適用できるので、水素輸送・貯蔵をはじめとする大型水素インフラを安全に運用するための要素技術として大いに期待できます。

アドバンテージ

センサ素子といえば点計測を行うスポット型のものを想像する場合が多いですが、光ファイバ技術を応用すれば、一本のケーブルに沿ったライン計測が低コストで実現できる可能性があります。当研究室ではこのような化学物質の高次元計測技術を目指しています。

事例紹介

水素センサの適用事例としては、大規模な水素貯蔵タンクや長距離パイプライン向けの水素漏洩監視システムがあげられます。また、水素自動車からの水素漏洩がトンネル内や地下駐車場内で起こると危険なため、それらの設備に適用できる分布型モニタリングシステムなども応用として考えられます。また、様々な化学物質に感応する材料を開発することで、光ファイバケーブル上に水質センサを集積して河川幅に張り巡らせて使用するような水質監視ラインセンサのようなデバイスも将来実現できると考えています。

主な所属学会

電気化学会 / 腐食防食学会 / 電気学会 / 日本高圧力技術協会 / 安全工学会

主な論文

『Pulsed laser deposition of Pt-WO3 of Hydrogen sensors under atmospheric conditions』
「Applied surface science 534 147568-1 - 147568-6」2020年
『Atmospheric Corrosion Sensor Based on Strain Measurement with Active-Dummy Fiber Bragg Grating Sensors』「METALS 10 ( 8 ) 1076」 2020年
『石油タンク底板内面に施工される重防食コーティングの深さ方向分析に基づいた等価回路モデル適用とその有効性』「材料と環境69 ( 3 ) 66 – 72」 2020年

主な特許

特許第6518937号「固体型残留塩素センサーおよびこれを備えた水道メーター」
特許第5648892号「光ファイバ水素センサ及びそれを備えた光ファイバ水素センサシステム」
特許第5152797号「白金/酸化タングステン系水素感応膜の製造方法」

主な著書

「Fiber-optic hydrogen gas sensor」共著 Encyclopedia of Sensors, vol.3 American Scientific Publishers 2006.6
「光ファイバ水素センサの開発動向」共著 NTS出版,水素利用技術集成 2007.6

主な研究機器・設備

ポテンショ/ガルバノスタットなどの電気化学計測機器
薄膜のガス検出特性評価設備

主な地域活動(国内、特に神奈川県内)

(社)日本高圧力技術協会
エネルギー貯蔵等安全性研究委員会(EST-3) 委員長