
研究概要
熱力学には「カルノー効率」に代表される理想的な性能限界があります。同様に電子デバイスにも理論的な性能限界が存在しますが、実際のデバイス性能はそこから大きく隔たっています。本研究室では、「その限界は本当に実現できるのか」「どうすれば近づけるのか」という問いを出発点に、非平衡状態における電子の振る舞いを研究しています。ナノスケールデバイスを舞台として、電子一個一個の運動や情報・エネルギーの流れを観測・制御し、新たな物理原理の解明と次世代の電子デバイス・情報処理技術の創出を目指しています。 本研究室の特徴は、デバイス作製・精密測定・シミュレーションを統合した研究アプローチにあります。非平衡現象の研究は理論を中心に進められることが多い一方、本研究室では設計・実験・解析を一体的に進め、実デバイスにおける非平衡状態を直接観測・制御することで、新しい電子デバイスの動作原理や設計指針の創出を目指しています。
アドバンテージ
本研究室は、ナノスケールトランジスタを用いて単一電子を室温で制御・観測する独自技術を基盤としています。トランジスタは集積回路を構成する基本素子ですが、電子一個一個を自在に制御することは容易ではなく、室温で実現している例は世界的にも限られています。この技術を活用して非平衡電子系の新たな物理を解明するとともに、その知見を超低消費電力デバイスや新しい情報処理技術へ展開することを目指しています。
事例紹介
ナノスケールのトランジスタにおいて、動作に要するエネルギーを熱力学的な役割ごとに分類・定量化することに成功。将来の超低消費電力デバイス設計に向けた理論的指針を提示した。

主な所属学会
応用物理学会 / 日本物理学会 / IEEE
主な論文
“Heat-dissipation decomposition and free-energy generation in a nonequilibrium dot with multiple electron states “ Physical Review Research vol. 8, p. 023209 (2026) “Thermodynamic Constraints in Dynamic Random-Access Memory Cells: Experimental
Verification of Energy Efficiency Limits in Information Erasure “ Physical Review Letters vol. 136, p. 117103 (2026)
“Power generator driven by Maxwell's demon“ Nature Communications vol. 8, p. 15301 (2017)
主な特許
特許第7513104号 「センサ」、 特許第4927777号 「電荷検出器および電荷検出方法」、 特許第4602912号 「ゲインセル・メモリ回路及びその駆動方法 」
主な著書
"Ballistic Transport in Silicon Nanostructures" in Silicon Nanoelectronics(2006).
"Single-Electron Transistor and its Logic Application" in Nanotechnology(2010).
"Silicon Single-Electron Devices" in Device Applications of Silicon Nanocrystals and Nanostructures.
主な研究機器・設備
測定プローバ 半導体パラメータアナライザ

