ファセット面を制御したコロイド型量子ドットを、
溶媒中でSiテンプレート上に沈降させる技術を用いた。
大学院理工学府 機械・材料・海洋系工学専攻
理工学部 機械・材料・海洋系学科材料
研究概要
量子ドットは、電子や正孔を数個だけ収容することのできる、10ナノメートル程度の大きさを持った半導体の箱です。我々の研究室では、量子ドットなどの先端ナノ材料を光エレクトロニクスヘ応用する技術を研究テーマとしています。具体的には、量子ドット超格子を用いた超高効率の次世代型太陽電池、コロイド型量子ドットとメタマテリアルとを組み合わせた単一光子放出素子、酸化物ワイドギャップ半導体の化学合成と素子応用、操作型プローブ顕微鏡を用いたシリコン基板のナノサイズ加工、などの研究に取り組んでいます。
アドバンテージ
ファセット面を制御したコロイド型量子ドットを溶媒中でSiテンプレート上に沈降させることで、構成する各量子ドットの面方位が揃った、長周期の繰り返し構造を持つ量子ドット超格子膜を実現した。これによって量子ドット膜中に複数の中間バンドの形成を実現し、超高効率の次世代型太陽電池実現への道を拓いた。次世代ワイドギャップ半導体として有望な酸化ガリウムのナノワイヤー結晶を化学合成する材料技術も開拓しており、操作型プローブ顕微鏡を用いたシリコン基板のナノサイズ加工技術などと合わせて、新しい光デバイスを実現するための材料から加工までの幅広い最先端技術を有している。
事例紹介
高均一な半導体量子ドットが3次元配列した構造である超格子を用いた太陽電池は、中間バンドの作用によって、60%以上の極めて高いエネルギー変換効率が見込めると予想されている。構成する各量子ドットの面方位が揃うことで、キャリアの移動度が向上し、太陽電池の飛躍的な高性能化が期待される。このような、次世代光デバイスにご興味のある方は、ご一報ください。
主な所属学会
応用物理学会 / 日本物理学会 / 電子情報通信学会
主な論文
・"Superlattice formation of faceted PbS quantum dots with three-dimensionally aligned crystal orientation",
K. Mukai et al., Appl. Phys. Express 11 085601 (2018). https://doi.org/10.7567/APEX.11.085601.
・"Chemical synthesis and band gap control of Ga₂0₃:Co nanocrystals", K. Mukai et al., Jpn. J. Appl. Phys. 58 SBBI06 (2019). https://doi.org/10.7567/1347-4065/ab00ef.
・"Formation of superlattice with aligned plane orientation of colloidal PbS quantum dots", K. Mukai et al., Jpn. J. Appl. Phys. 57 04FS02 (2018). https://doi.org/10.7567/JJAP.57.04FS02
主な特許
・特許第4982838号「光制御素子,発光素子,光回路装置」
・特許第6229228号「光制御素子及びこれを用いる量子デバイス」
・特許第6160995号「発光素子及びこれを用いる量子デバイス」
主な著書
・特集「超格子デバイス」(株)矢野経済研究所「Yano E Plus」Vol.136, pp.22-45, 2019.
・「コロイド型量子ドットを用いた光子発生器」日本工業出版
「光アライアンス」Vol.30, No.7, p.16-19, 2019.
・「微小角入射X線解析法(GIXD法)による円柱型InAs/GaAs量子ドット構造の評価」量子ドットエレクトロニクスの最前線,NTS社, 2011.
主な研究機器・設備
・電子ビームリソグラフィ設備
・マイクロフォトルミネッセンス測定系
・時間相関光子計数系