そこにクラスター分析や罰則付き回帰分析といった多変量解析・機械学習を
ブレンドさせた実務志向のデータサイエンス技術の開発を行っている。
大学院・理工学府・数物・電子情報系理工学専攻 数学教育分野(数理科学ユニット)
理工学部・数物・電子情報系学科 数理科学教育プログラム
研究概要
統計的因果推論という分野を中心に、統計科学(データサイエンス)に関する研究を幅広く行っています。みなさんのなかには、普段の仕事のなかで、ある行動をとったばっかりに、予想もしなかったことが起こったなんて経験をしたことはありませんか?たとえば、うまくいくと思っていた作業方法を実際にやってみたら、逆に大きな損失につながってしまったとか…。行動を起こした後では遅すぎる…だから、行動を起こす前に何が起こるのかを予測したい。統計的因果推論は、そんな問題を解決するためのデータサイエンス技術を提供しています。ちなみに、統計的因果推論は、統計科学における研究分野の一つですが、研究を進めていくためには、医学・工学・社会科学・人文科学などで得られた知識と融合させていくことが必要で、まさしく異分野融合型の数理科学研究分野ということができます。
アドバンテージ
学術面では,統計的因果推論やグラフィカルモデリングを中核に添え、そこにクラスター分析や罰則付き回帰分析といった多変量解析・機械学習をブレンドさせた新たなデータサイエンス技術の開発を行っています。その研究成果は統計科学関連のトップ・ジャーナルだけではなく、人工知能・情報科学関連のトップ・カンファレンスにも掲載されています。一方、実務面では、統計的因果推論やグラフィカルモデリングにこだわらず、依頼者のニーズに応じたデータ解析のコンサルテーションを行っており、必要があればデータ解析法の開発を行うこともあります。実務的応用分野を一つに絞ったデータサイエンス研究室が多いなか、応用先をあえて絞らず、異分野横断的に幅広く対応できるところに本研究室のアドバンテージがあると思います。
事例紹介
実務家主導の共同研究として、以下のデータ解析のお手伝いをしました。
統計的因果推論の品質管理分野・医学分野への応用/SSI サーベランス調査項目関連構造に関する研究/日本および中国での身近な街路景観の認知特性に関するデータ解析/ COVID-19パンデミック時の緊急事態とGo Toキャンペーンによる社会環境の変化に関するデータ解析/交通コンフリクト指標の開発/治療効果に対する代替性の評価尺度の開発/ラグビーにおける頭部・頸部負傷のリスクファクターに関する統計解析/頭蓋顔面形態に着目した頬側歯配列構造のデータ解析/業務適正アンケートのデータ解析/モデル化、など。
主な所属学会
日本統計学会 / 日本品質管理学会 / 応用統計学会,など
主な論文
[1] Identification and Estimation of Joint Probabilities of Potential Outcomes in Observational Studies with Covariate Information,35th Conference on Neural Information Processing Systems (NeurIPS 2021),2021.
[2] Measurement bias and effect restoration in causal inference,Biometrika,2014.
[3] Bounds on direct effects in the presence of confounded intermediate variables,Biometrics,2008.
主な著書
[1]「統計的因果推論-モデル・推論・推測-」共立出版,2009
[2]「構造的因果モデルの基礎」共立出版,2017.
[3]「数理統計学-統計的推論の基礎-」共立出版,2020.