従来のCVD法の限界を超越した新たな材料創出の可能性を秘めている。
大学院環境情報学府 人工環境専攻
理工学部 化学・生命系学科 化学教育プログラム
研究概要
セラミックスのコーティングや蛍光体、光学結晶に、自己結晶配向成長や自己組織化を通じて革新的な機能性を発現させたり、高速合成や造形技術によって製造工程を刷新したりすることで、実用工業材料に新たな価値を付与することができます。レーザーを援用した化学気相析出 (CVD) 法をコア技術とし、「気相法の限界を超越した新たな材料化学と環境材料の創出」に向けて、新しい材料設計指針や製造プロセスを提案していきます。
アドバンテージ
我々が所有するセラミックスの気相成長技術は、熱CVD法やPVD法によるセラミックスコーティングの製造プロセスと比べて、次のような利点があります: (I) 卓越した成膜速度 (毎時 数十~数百µm)、(II) 自己結晶配向成長、(III) ナノ複合構造形成。一方、融液成長法による単結晶蛍光体の育成プロセスに対して、次のような利点があります: (i) プロセス温度の半減、(ii) 超高融点材料や低温相・準安定相の結晶成長、(iii) 積層化や複雑形状基材への直接合成。
本手法が基盤とするCVD法は、工具や半導体分野で工業的に使用されており、研究成果の産業技術移転が容易であり、気相からの高次ナノ構造の形成技術は、コーティングやデバイスの性能を飛躍的に発展させる可能性を秘めています。相同定、組織観察、蛍光特性評価、シンチレーション特性評価は研究室内で完結可能です。一試料あたりの合成時間は一時間以内であり、材料探索や開発を迅速に進めることができます。
事例紹介
過去の研究開発や現在の事業化検証中のものを含め、以下の事例が挙げられます。放射線誘起蛍光体 (シンチレーター) 結晶の低コスト・迅速製造技術、金属治具や製造装置向け保護コーティング、セラミックス繊維強化セラミックス複合材料向け繊維コーティング技術
主な所属学会
日本セラミックス協会 / 米国セラミックス協会 / 応用物理学会
主な論文
『Chemical vapor deposition of highly oriented ceramic coatings in a high-intensity laser irradiation』「Journal of the Ceramic Society of Japan」2021.11
『SiC繊維表面への界面制御コーティング技術と力学特性評価』「セラミックス」2020.6
『レーザーを援用した化学気相析出法によるセラミックスの自己配向成長』「セラミックス」2020.2
主な特許
特願2021-131653「蛍光体とその製造方法」
特願2021-069281「蛍光体とその製造方法、およびα線検出器」
特願2020-058685「セラミックス被膜とその製造方法」
主な著書
「Nanocomposite, Ceramic and Thin Film Scintillators」Pan Stanford Publishing 2016
「図解 傾斜機能材料の基礎と応用」コロナ社 2014
主な研究機器・設備
化学気相析出装置、X線回折装置、シンチレーション特性評価システム