理工学部 機械・材料・海洋系学科
教授 石井 一洋イシイ カズヒロ
燃焼現象の基礎的な研究、推進システム等への応用に関する研究を行っている。
実験装置として衝撃波管を保有しており、3000K以上の高温場を実現可能。
主な研究テーマとしては、燃焼の一形態であるデトネーションの開始条件などの基礎研究と回転デトネーションエンジンなどへの工業応用、水中衝撃波を利用した液体の非加熱殺菌や、人体に有害な煤の生成特性や制御など。
研究分野 - 分野
工学
研究分野 - 分科
機械工学
研究分野 - 細目名
熱工学

キーワード
燃焼 / 推進 / デトネーション / 衝撃波 / 水素

相談に応じられるテーマ
燃焼・爆発 / 点火・着火 / エンジン

所属
大学院工学研究院 システムの創生部門
大学院理工学府 機械・材料・海洋系工学専攻
理工学部 機械・材料・海洋系学科

E-mail
ishii-kazuhiro-rh@ynu.ac.jp
ホームページ

研究概要

燃焼現象の基礎的な研究および推進システム等への応用に関する研究を行っています。以下、3つのテーマを紹介します。
(1)デトネーションは、衝撃波面とそれに誘起された反応面が一体となって、可燃性気体中を2000 m/s以上で伝播する現象です。実社会でデトネーションが起こると甚大な被害が生ずるため、デトネーションの開始条件について調べています。さらに、デトネーションを航空宇宙用推進機関に応用した回転デトネーションエンジンの研究を行っています。
(2)水素は二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして注目を集めていますが、化石燃料と比べて単位体積当たりの発熱量が少なく、燃焼時に人体に有害なNOxを生成しやすいという特徴もあります。安全・安心な水素利用のために、水素燃焼の基礎特性を調べています。
(3)水中衝撃波を利用すると液体の非加熱殺菌が可能となります。さらに殺菌対象の液体に気泡を添加すると、衝撃波が生ずるので、水中衝撃波の威力をさらに強めることができます。

アドバンテージ

(1)実験装置として、気体の温度をほぼ瞬間的に任意の温度・圧力に上昇させることができる衝撃波管を保有しています。試験時間は短いものの、3000 K以上の高温場も容易に実現できます。
(2)燃焼の分野では気体の圧縮性についてあまり注意が払われることがありませんが、爆発現象や、単位時間当たりの発熱量が非常に大きい場合には圧力波が生成され、流れを引き起こします。当研究室では、圧力波や衝撃波が関連する高速燃焼現象も取り扱っています。  

事例紹介

・水素燃焼バーナの基礎特性に関する研究(共同研究)
・亜酸化窒素の生成・分解反応機構に関する研究(共同研究)
・多種燃料に対応する次世代バーナの開発(受託研究)
・メタン-酸素混合気を利用した回転デトネーションエンジンの研究(共同研究)
・多成分燃料の煤粒子生成量と粒子数との関係モデル化(受託研究)

回転デトネーションエンジン
水素火炎

主な所属学会

日本機械学会 / 日本燃焼学会 / 日本航空宇宙学会 / 自動車技術会 / 火薬学会

主な論文

『Propagation stability of rotating detonation waves using hydrogen/oxygen-enriched air mixtures』「Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences」2018.
『 収束デトネーションにより駆動される水中衝撃波を用いた海洋微生物処理』「日本機械学会論文集」2018
『反射衝撃波背後における3成分ガソリンサロゲート燃料の煤生成特性』「自動車技術会論文集」2019

主な特許

特開2016-47099「液体処理方法及び装置」
特開2005-315250「パルスデトネーションエンジン着火方法およびその装置」
特開 2005-315250「パルスデトネーションエンジンの吸気点火方式及びその装置」

主な著書

「JSMEテキストシリーズ 機械工学総論」 日本機械学会 2012
「デトネーションの熱流体力学〈1〉 基礎編」 理工図書 2011
「工業熱力学 基礎編」 東京大学出版会 2004

主な研究機器・設備

「高速度カメラ」MEMRECAM fx-K4
「衝撃波管」