理工学部 機械・材料・海洋系学科 材料工学EP
教授 長谷川 誠ハセガワ マコト
セラミックコーティングにより、
耐熱材料や工具鋼などに向けた長寿命で信頼性の高い
材料の新規プロセス技術や評価手法の開発を行っている。
エアロゾルデポジッション法により、金属はもちろんのこと、セラミックにおいても膜の結晶配向が制御可能であることを見出した。原料粒子の基材への衝突による塑性変形の、成膜への寄与を、詳細に解明した。
研究分野 - 分野
工学
研究分野 - 分科
材料工学
研究分野 - 細目名
構造・機能材料

キーワード
材料強度学 / 高温強度 / 材料組織制御 / 集合組織 / 表面処理・コーティング

相談に応じられるテーマ
エアロゾルデポジション法による成膜技術 / 金属やセラミックス膜の集合組織(結晶配向)制御技術 / 高温加工による組織・集合組織制御手法 / 材料強度・界面強度の特性評価技術

所属
大学院工学研究院 システムの創生部門
理工学部 機械・材料・海洋系学科 材料工学EP
大学院理工学府 機械・材料・海洋系工学専攻

E-mail
hasegawa-makoto-zy@ynu.ac.jp

研究概要

セラミックコーティングにより耐熱材料や工具鋼などの構造材料における耐環境性や耐熱性、耐摩耗性を向上させ、長寿命化の機能を付与した、信頼性の高い材料の新規プロセス技術や評価手法の開発を行っています。また、高温加工や加工・熱処理により材料組織や集合組織を積極的に制御することで金属や合金における塑性加工性の向上、室温での破壊抵抗の改善、高温強度の向上など、材料における高信頼性化や長寿命化の実現に取り組んでいます。

アドバンテージ

(1)金属やセラミックの粉末を常温にて高速で基材へ吹き付けることにより、緻密質で結晶質なコーティングの形成がエアロゾルデポジッション(AD)法では可能です。常温成膜のため、基材の劣化は無く、また、粉末の組成がそのまま膜の組成となるため、膜に求める組成の粉末さえ作製できれば、組成変動無しの膜形成が可能です。成膜時の膜の酸化も無いため、非酸化物の成膜も容易です。異なる粉末を混合した後に成膜し、複合材料を作製した実績もあります。近年、粒子の基材衝突による塑性変形が成膜に寄与することから、AD法により金属はもちろんのこと、セラミックにおいても膜の結晶配向が制御可能であることを見出しました。
(2)1000℃を超える温度域において真空中にて材料を変形することが可能です。TZM合金やSiAlON製の冶具を用いることで、単軸圧縮変形のほか、圧延を模擬した平面ひずみ圧縮変形やせん断変形も実施できます。近似的に真ひずみ速度が一定となる試験も可能です。

事例紹介

(1)AD法による環境遮蔽コーティング(EBC)作製の試み
(2)金型用硬質膜のAD法による補修技術
(3)粒子衝突による超高温耐熱セラミックス接合体の開発
(4)bcc構造を有するb-Ti系合金の高温加工を用いた結晶配向制御による低弾性率化技術
(5)Ti-Al-X系耐熱合金の高温加工による組織制御・配向制御技術
(6)耐剥離性を有する熱遮蔽コーティングシステムの開発

主な所属学会

日本金属学会 / 日本鉄鋼協会 / 日本軽金属学会 / 熱処理技術協会 / 日本セラミックス協会 / アメリカセラミックス協会

主な論文

『Formation Mechanism of Texture in α-Alumina Coatings Produced by Aerosol Deposition』「Journal of the Ceramic Society of Japan」2021.4
『エアロゾルデポジション法により作製したモデル環境バリアコーティングの大気熱曝露による組織変化』「溶射」2020.4
『Fracture toughness of a lamellar orientation-controlled TiAl-based alloy processed by either one-step or two-step compression at high temperature』「Materials Science and Engineering: A」2018

主な特許

特許第6331083 「結晶配向セラミックス積層材料及びその製造方法」
特開2018-9223 「遮熱コーティング方法、及び遮熱コーティング材」

主な著書

「ナノコーティング―セラミックス・コーティング技術の新しい展開-」技報堂出版 2010.3
「エアロゾルデポジション法の新展開-常温衝撃固化現象活用の最前線」シーエムシー出版 2019.2
「エレクトロニクス用セラミックスの応用、開発と評価手法」(株)技術情報協会 2020.8

主な研究機器・設備

「エアロゾルデポジション装置」Type GD-AE04/SS2改、淵田ナノ技研
「真空高温加工試験装置」AG-250kNC(リフレッシュ済み)、(株)島津製作所製+真空炉(タングステンメッシュヒーター)、ネムス(株)製