大学院理工学府 数物・電子情報系理工学専攻
理工学部 数物・電子情報系学科 電子情報システム教育プログラム
研究概要
本研究室では主に、(1)システム最適化・自動化、(2)ロボティクス、(3)アクチュエータ、の研究に取り組んでいます。(1)は確率モデルや最適化アルゴリズムをベースに様々なシステムの最適化、予測、自動化を目指すもので、利用可能なデータの増大と計算コストの低下に伴い、幅広い応用が可能な分野です。計算機能力を活かした大規模最適化、移動ロボットや自動運転自動車の周囲環境認識・学習など知能化、気象の予測や制御に関する研究を行っています。(2)は幅広い利用が予想される協働ロボットやパワーアシストロボット、福祉ロボットに関して、安全で柔軟な機構や運動制御の研究を行っています。(3)はモータや減速機を含む駆動システムの性能向上や省エネルギー化を目指すもので、新原理に基づくアクチュエータの設計・解析・開発を行っています。精密な力から大きな力まで発生でき、かつ、応答性・制御性の良い新しいアクチュエータの実現を目指しています。具体的には、単位体積当りの推力が従来のリニアモータよりも大きく、らせん形状の固定子と可動子からなる、新しい構造のスパイラルモータの開発や、逆駆動が可能な高減速ギヤの開発を行っています。
アドバンテージ
システム最適化から、ロボットやモータ・減速機の設計・製作といったものづくりまで幅広く研究を行っています。新機構の考案や設計に最適化を取り入れることで性能を大幅に向上させることができます。例として、電磁力のみで大推力を発生させるリニアアクチュエータ(スパイラルモータや磁気ギヤモータ)や、高効率・高バックドライバビリティなバイラテラルドライブギヤの提案・開発などの実績があります。
事例紹介
バイラテラルドライブギヤの研究では、研究室で開発した最適化設計ソフトを用いて様々な減速機の開発を行い、パワーアシストロボットや遠隔操作ロボット、コミュニケーションロボットなどに採用されています。またEVのパワートレインに向けた開発が進められています。そのほか、研究を用いた事例として、自律移動ロボット、自動運転自動車、アシスト自転車、福祉ロボット、リハビリロボット、杖型ロボット、電力変換回路の制御、建設機械の軌道計画・制御、降雨量予測、上水送水運転支援、上下水管網解析、マイクロ水力発電、9スイッチインバータ、3次元動力学ロボットシミュレータなどが挙げられます。
主な所属学会
電気学会 / 日本ロボット学会 / 米国電気電子学会(IEEE)
主な論文
『A High Accuracy Real-Time 6D SLAM with Feature Extraction using a Neural Network』「IEEJ Journal of Industry Applications」2021
『Bilateral Drive Gear - a Highly Backdrivable Reduction Gearbox for Robotic Actuators』「IEEE/ASME Trans. on Mechatronics」2019
『A Robotic Cane for Balance Maintenance Assistance』「IEEE Trans. on Industrial Informatics」2019
主な特許
WO2021/149320「2自由度電動機」
WO2018/159813「モータ」
特開2020-28963「制御装置、パワーアシスト装置、制御方法およびプログラム」
特許第6782494号「遊星歯車装置及び遊星歯車装置の設計プログラム」
特許第6537930号「電気機械エネルギー変換装置」
主な著書
「電気機器学の基礎理論」コロナ社 2020
主な研究機器・設備
モータ試験装置
NCフライス盤
電磁界解析ソフトウェア
主な地域活動(国内、特に神奈川県内)
KISTEC高度技術活用研修講師
かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会理事