環境負荷が低くサステイナブルな有機電解合成に注力し、
環境に調和した新しい物質合成、新材料の創製を目指している。
大学院理工学府 化学・生命系理工学専攻
理工学部 化学・生命系学科
研究概要
20世紀から現在にかけて、化学は人類社会の発展に大きく貢献しました。その一方、今世紀に入ってからはエネルギー問題・気候変動・資源枯渇といった課題が顕在化してきています。サステイナブルな社会、カーボンニュートラルを実現するためには、物質生産プロセスのイノベーションが必要不可欠です。
跡部研究室では電気化学を基盤にした有機・高分子合成に関する研究を展開しています。電子を試薬とすることができる有機電解合成に立脚し、環境に調和した新しい物質合成、電気エネルギーと化学エネルギーの効率的相互変換、高度情報化社会を支える新材料の創製を目指してます。
アドバンテージ
有機電解合成は電気分解により有機合成を行う概念であり、化学産業を「電化」する次世代型物質合成法として近年高い注目を集めています。特に最近、跡部研究室で注力している固体高分子電解質電解装置を用いる有機電解合成は、一般的な電解反応に必須である支持電解質を必要とせず、また高いエネルギー変換効率や高いスケール収率(単位体積あたりの生産速度)を示すことから、有機電解合成を社会実装する上での鍵技術と期待されています。さらに本手法は、水を原料とし、電気エネルギーで駆動するクリーンな合成技術であるため、持続可能なファインケミカル製造の実現に貢献することが期待されます。
事例紹介
主な所属学会
日本化学会 / 電気化学会 / 米国化学会 / 米国電気化学会 / 高分子学会 / 日本ソノケミストリー学会 / 有機電子移動化学研究会 / 電解科学技術研究会 / 有機合成化学協会
主な論文
『Diastereoselective Electrocatalytic Hydrogenation of Cyclic Ketones Using a Proton-Exchange Membrane Reactor: A Step Toward the Electrification of Fine-Chemical Production』「ACS Energy Lett., vol. 8, pp. 1010-1017」 2023/1
『Mechanistic Insights into Electrocatalytic Hydrogenation of Alkynes on Pt–Pd Electrocatalysts in a Proton-exchange Membrane Reactor』「ACS Catalysis, vol. 9, pp. 5430-5440」 2022/4
『Designing Modular Assembly of Electrochemical Flow Microreactor as an Enabling Technology of Electrosynthesis in Laminar Flow』「Eur. J. Org. Chem., vol. 45, pp. e202200980」 2022/11
『Bayesian Optimization with Constraint on Passed Charge for Multiparameter Screening of Electrochemical Reductive Carboxylation in a Flow Microreactor』「Chem. Commun., vol. 58, pp. 3893-3896」 2022/2
主な特許
特願2021-030197「アルデヒド製造装置およびアルデヒド製造法」
特許第5794640号 米国特許8,927,683 中国特許102812068「重合液及びその製造方法,この重合液から得られた透明フィルム及び透明電極」
特許第4014418号「電気化学ディバイス」
主な著書
「Fundamentals and Application of Organic Electrochemistry: Synthesis, Materials, Devices」Wiley 2014/9
「有機電気化学(電気化学便覧 第6版)」丸善出版 2013/1
「有機電気化学」コロナ社 2012/5
主な研究機器・設備
走査型電子顕微鏡(SEM)
エネルギー分散型X線分光装置(EDX)
卓上NMR
GCMS
LCMS
主な地域活動(国内、特に神奈川県内)
庶務理事(公益社団法人電気化学会)
関東支部長(公益社団法人日本化学会)
シンポジウムグループ委員(公益社団法人新化学技術推進協会)