また、巨大磁気抵抗現象のような新しく面白い物性を示す物質の開拓も目指している。
大学院理工学府 数物・電子情報系理工学専攻 物理工学コース
理工学部 数物・電子情報系学科 物理工学教育プログラム
研究概要
高温超伝導体と呼ばれる銅酸化物の超伝導転移温度は高温といってもマイナス150℃で、実用にはまだまだ低すぎます。我々の最終的な目標は室温で超伝導となる物質を合成することです。また、強相関電子系物質では磁性と電気伝導がお互いに関連しあい新規な物性を示すことがあります。超伝導探索だけでなく、巨大磁気抵抗現象のような新しくて面白い物性の開拓も目指しています。
アドバンテージ
当研究室では豊富な合成装置を保有しています。
具体的には、
①最高1850℃までの温度を達成できる電気炉群
②合成時の雰囲気ガスを精密に制御できるガスフローシステム
③最高1700℃、最大圧力3GPa下での合成を可能にするキュービックアンビル型超高圧合成装置
④合金の合成に威力を発揮するアーク炉、グローブbox
⑥大型単結晶育成のためのフローティングゾーン炉
以上のように、機化合物合成については様々なアプローチにより新物質合成を目指すことができます。
基礎的な物性評価として、10K冷凍機、VSM磁束計を保持しています。
事例紹介
当研究室においては以下のような興味深い新物質を合成してきています。
①新超伝導体CdCNi3:超伝導転移温度は3.5Kと低いものの超伝導発現に強磁性が関与している可能性があり学術的に興味深い。また強磁性・超伝導接合を用いたデバイスとしての可能性も秘めている。
②新超伝導ZnNNi3:超伝導転移温度は3.5Kと低いものの超伝導発現に強磁性が関与している可能性があり学術的に深い。また強磁性・超伝導接合を用いたデバイスとしての可能性も秘めている。
③新化合物LaSrVMo06 応用上有用な物質と考えられているが、合成が実現していない反強磁性ハーフメタルの可能性があり注目を集めている。
主な所属学会
日本物理学会 / 日本磁気学会
主な論文
「Superconductivity in the ladder material Sr0.4Ca13.6Cu24041.84」J. Phys. Soc. Jpn. 65 (1996) 2764
「Percolative phase seperation underlies colossal magnetoresistance in mixed-valent manganites」Nature 399 (1999)
「Superconducting Properties of CdCNi3」J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 0347141
「New anti-perovskite-type Superconductor ZnNyNi3」J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2009) 0337021
主な著書
Multi-scale Phase Modulations in Colossal Magnetoresistance Manganites, Chapter4 in "Colossal
Magnetoresistive Manganites", Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, Netherlands ,p131-200 (2004)
Superconductivity and Magnetism in Ladder and Chain Compounds - Physics of (Sr,Ca)14Cu24041 -a chapter
in"Frontiers in Magnetic Materials", Springer Verlag, Germany, p573-606 (2005)