理工学部 機械・材料・海洋系学科 機械工学教育プログラム
教授 百武 徹ヒャクタケ トオル
流体力学の特徴を活かし、マイクロ・ナノスケールの流体力学、混相流、粘弾性流体、
バイオ流体などに関わる現象について分野横断的な研究を行っている。
生体に関する微小流れに関する例として、微小血管内を流れる赤血球の特異的なレオロジー特性に注目した研究、生物流体として、生殖細胞のひとつである精子が、卵管内粘液中での運動についての流体力学的観点からの研究を行っている。
研究分野 - 分野
複合領域
研究分野 - 分科
人間医工学
研究分野 - 細目名
医用生体工学・生体材料学

キーワード
バイオメカニクス / マイクロ流体力学 / 粘弾性流体 / 混相流

相談に応じられるテーマ
マイクロ流体に関わる現象 / 混相流を含む数値流体解析手法の提案 / 粘弾性流体に関わる流動現象

所属
大学院工学研究院 システムの創生部門
大学院理工学府 機械・材料・海洋系学専攻
理工学部 機械・材料・海洋系学科 機械工学教育プログラム

E-mail
hyaku@ynu.ac.jp
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研究概要

1.微小血管内流れに関する研究
血管径が数十マイクロメートルの細動脈や毛細血管では、血管径と血管内を流れる赤血球や白血球の大きさが同程度になり、血管内流れは複雑となります。本研究室では、赤血球の特異的なレオロジー特性に注目して、マイクロ流体チャネルを用いたin vitro実験を行っています。また、人工赤血球と呼ばれるナノ粒子に着目し、微小血管内を対象とした人工赤血球/赤血球の分散相の研究を行っています。最近では、血液透析患者を対象とした人工血管を含む血管内流れに関する研究も行っています。

2.生物流体に関する研究
鞭毛をもった生物、たとえば生殖細胞のひとつである精子が、卵管内粘液中でどのような運動をするのかを流体力学的観点から実験的・数値解析的に研究しています。研究の応用先として、マイクロ流体システムを用いた運動良好精子分離装置などがあげられます。これにより、生殖補助医療分野や畜産分野に対しての貢献が考えられます。

アドバンテージ

マイクロスケールの流体力学や、混相流、粘弾性流体などに関わる現象について分野横断的な研究を行っています。 

事例紹介

マイクロ流体システムを用いた運動良好精子分離装置の高効率化を目指した装置内流動解析、および運動精子のモデル化に成功しました。また、血液透析患者の血管画像より流体解析を行いシャント内トラブルの発生要因を明らかにしました。

主な所属学会

日本機械学会 / 日本生体医工学会 / 日本バイオレオロジー学会

主な論文

『微小血管における人工酸素運搬体の流動特性および 酸素輸送に関する研究』「膜, Vol. 47, No. 1, pp. 257-262」 2022/9
『受精環境を模したレオロジー流体中における精子の運動特性』「生物物理, Vol. 62, No. 3, pp. 175-177」 2022/6
『受精環境下における牛精子の運動特性』「ながれ, Vol. 39, No. 1, pp. 8-13」 2020/2
『哺乳類精子の運動性評価と実用例(トピックス)』「日本機械学会誌, Vol.119, No.1173, pp.474」 2016/8
『低侵襲性人工血管の開発』「RIMS講究録別冊, B54, pp.49–54」 2015/10
『微小血管分岐部内の人工赤血球/赤血球動態に関する流体シミュレーション』「人工血液, Vol.18, No.1, pp.25–32」 2010/5

主な特許

特願2020-98540「運動性精子選別チップ及びその方法」

主な著書

「流体力学」森北出版株式会社,2017.9