
経営学部 経営学科
総合学術高等研究院
先進実践学環
研究概要
私の研究は、企業のマーケティング活動や組織運営の実践を会計情報の視点から捉え直し、合理的な意思決定と説明責任を支援する「基礎理論の提供」を目的とし、主に以下の2つに取り組んでいます。 1. 長寿企業の実践観察を通じた「企業の永続性メカニズム」の解明:長年事業を継続してきた企業を対象に、時代に応じた管理会計システムの導入・定着プロセスを定性的に解明します。 2. AI時代における「創造性依存業務」の業績評価システムの構築:生成AIの普及に伴い役割が変化するマーケティングやR&D現場において、人間の創出する付加価値を適切に測定・評価し、リソース配分と同期させる管理会計パッケージの構築を目指します。 単なる理論提示にとどまらず、実務家が新たな施策を打つ際に「自社のアプローチが学術的・他社事例に即して妥当か」を客観的に判断するための理論的基盤を提供し、実践を後押しします。
アドバンテージ
私の研究の最大の強みは、「管理会計」と「マーケティング」の融合領域における基礎理論、および長寿企業の実践を観察・分析することで得られた知見に基づき、実務家のアクションに対する客観的な判断軸・理論的裏付けを提供できる点にあります。 企業が新たな施策や組織改革(AI導入に伴う評価制度の見直し、管理会計の導入、マーケティング投資の構造改革など)を進める際、「この方向性が学術的・他社事例に即して本当に正しいのか」という不安が生じがちです。私の研究では、豊富な定性調査に基づく実践的知見と理論的枠組みを活用し、自社の取り組みの妥当性を検証・追認する「思考のパートナー」として機能します。現場の文脈に寄り添いながら、理論的かつ実践的な示唆を提示できる点が強みです。
事例紹介
私の研究事例を2つご紹介します。
【事例1:通信販売における広告効果の可視化】
<事例の概要>テレビCMなどのダイレクトレスポンス広告による新規顧客獲得活動を事例に、その費用対効果を会計情報から分析しました。特に、無料のお試しセット請求といった広告に直接反応する「レスポンス数」と、その後の本製品購入に至る「成約数」を分けて評価する手法に着目しました。
<事例の考察>レスポンス数だけでなく、最終的な販売成約までを追跡し、「成約単価(顧客1件獲得にかかる広告費)」という指標で評価することの重要性が明らかになりました。これにより、単発的な広告効果だけでなく、長期的な収益貢献度を測定可能になり、マーケティング活動が「投資」として評価できることを示しました。
【事例2:ファミリービジネスの事業承継と管理会計】
<事例の概要>老舗中小企業の事業承継プロセスを事例として、後継者がどのように管理会計を導入・活用したかを分析しました。特に、事業承継を機に、経験と勘に頼っていた経営を、データに基づいた合理的な意思決定へと転換した過程を追いました。
<事例の考察>事業承継という経営者の交代が、組織の構造変革をもたらし、結果として管理会計システムの導入を加速させる契機になることが分かりました。また、創業家出身の後継者であっても、外部での経験や自己研鑽を通じて、積極的に管理会計を導入し、組織全体のDXを推進できる可能性を示しました。
主な所属学会
日本会計研究学会 / 日本原価計算研究学会 / 日本管理会計学会
主な論文
「生成AI時代における創造性依存型業務の管理会計システム──業績評価パッケージの統合と経営資源配分の同期メカニズム──」『横浜経営研究』2026(共著).
「生成AI時代におけるマーケティング組織の構造転換――機能的価値から存在論的価値へ――」『横浜経営研究』2026(共著).
「ファミリービジネスにおける管理会計の導入と実践―老舗中小企業の事業承継を事例として―」『産業經理』2020(共著).
主な著書
君島美葵子「電子商取引の発展と営業費会計の変容」(中村博之・高橋賢編著『管理会計の変革― 情報ニーズの拡張による理論と実務の進展』第5章所収. 中央経済社 ISBN:9784502488801)2013年.

