深層学習の構造最適化、浸透学習などのAI技術を開発している。
大学院環境情報学府 情報環境専攻
理工学部 数物・電子情報系学科 情報工学EP
YNU人工知能研究拠点長
研究概要
人と機械の知能に関わる広範囲な人工知能(AI)の研究を行なっています。深層学習をはじめとする機械学習の判断根拠と機序(メカニズム)を人が理解できるようにする「説明できるAI:XAI (explainable AI)」、それをさらに発展させた「人と共に進化するAI:CAI (co-evolutional AI)」などを中心に研究を進めています。また、医学や農学など他分野との融合領域へのAIの応用に力を入れるとともに、製造業や金融業などとの共同研究を行なっています。さらにYNU人工知能研究拠点長として様々な企業に対するAIの技術指導や産学官連携活動を推進し、自身で起業したAIベンチャーの取締役や企業の技術顧問の業務も行っています。
アドバンテージ
深層学習のモデルを「利用」して問題解決することができる研究室はたくさんありますが、その中で「独自のAI技術を自ら開発して特許取得」している研究室はさほど多くありません。当研究室では、長年研究を続けている最適化法である進化計算法を応用した独自の進化的機械学習、進化的画像処理、深層学習の構造最適化、浸透学習など、単に学術的に新しいだけでなく産業応用上も有効な独自のAI技術を開発し、必要に応じて特許出願・取得をしています。国家プロジェクトや企業との共同研究などを通して、研究成果の社会への迅速な還元を目指すとともに、OJTに基づく即戦力のAI人材の育成を行なっています。
事例紹介
1) 進化的画像処理ソフトウェア CRAFT-IT
少ない事例から画像処理を自動構築する世界初の進化的画像処理ソフトウェアとして、横浜国立大学発ベンチャー(株)マシンインテリジェンス(長尾教授:取締役CTO)から一般向けに発売中です。
2) 深層学習の線形回路化手法DNN2EME(特願2021-536996)
任意の深層回路を入力変数の数式によって決まる特徴量の線形和の式に変換して言葉や図で説明する手法を開発しました。経済産業省NEDO「共進化AI」プロジェクトでは、血液中のマイクロRNAによりがんリスクを判定して健康社会に貢献するヘルスケアビジネスの社会実装を目指しています。
3) 浸透学習法PLM(Percolative Learning Method,PCT/JP2018/028633)
学習時のみ利用可能な情報(Aux)を学習時と運用時の両方で使える情報(Main)に「浸透」させて学習する世界初の深層学習方式です。未来の情報を学習できる高精度な予測器や、コストを要するデータを学習時のみ利用する分類器の構築を可能にする技術です。
その他にも独自性の高い数々のAI手法を開発しています。
主な所属学会
情報処理学会 / 電子情報通信学会 / 人工知能学会
主な論文
『An Evolution based Approach for Efficient Differentiable Architecture Search』・「GECCO 2020」・2020.7
『Evolution of Deep Convolutional Neural Networks Using Cartesian Genetic Programming』・「Evolutionary Computation, MIT Press」・2020.3
『畳み込みニューラルネットワークを用いた画像分類タスクの直感的可視化方法』・「情報処理学会論文誌」・2017.10
主な特許
特願2021-536996 「説明生成装置, 説明生成方法およびプログラム」
PCT/JP2018/028633 「ニューラルネットワークシステム, 機械学習方法及びプログラム」
特許第5548990号 「進化的条件判断ネットワーク」
主な著書
「C言語による画像処理プログラミング入門」朝倉書店 2011
「進化的画像処理」昭晃堂 2002
「最適化アルゴリズム」昭晃堂 2000
主な研究機器・設備
GPUサーバ
GPU搭載PC
VRシステムOmni
主な地域活動(国内、特に神奈川県内)
神奈川県R&D推進協議会での講演(神奈川県)
県内の企業に対するAI教育・技術指導(神奈川県)
みなとみらい地区の人流解析チームヘの参画(横浜市)